約20年前頃に書いた詩

東京んちのベッドのしたのひきだしから
出てきた、詩。


約20年前
小さかった娘ふたりつれて
池袋サンシャインの水族館に行った後にかいたもの。
まだ、結婚していたころのもの。
人からは「幸せなおくさん」と見られてたころの。


この数年後に、怒濤の日々が……やってくる。
それを予知してるような。

・・・・・・・
水族館で



四角い水の箱のなかに
ただよう2匹のマンボウ
見えない下半身を想像してる


不安を忘れていたいから
不自由でいたいと望んでいるかのようだ


ぼんやりしてると捕まっちゃうよ
そうしたら今度は 鮫になれるかな


ざわめきの向こうで始まるアシカショー
わたしの子どもたちはすっかり
「ヘッドフィッシュ」を忘れてる
すぐに忘れてしまえるそのやり方を
思い出させてほしいな


孤独とか不安とかひとりでは生きていけないこととか
すんなり 知らん顔して
つぎの場面に行ってしまいたい
あなたに話したかったことなんかもみんな
一緒くたにしてね


はじめっから失ってた 体みたいにさ


・・・・・・・・・・・・・・・・・

こころがさきに風邪をひく


ぼんやりあついてのひらに
にぎりしめてる汗ひとつ
夢みた夢を 夢みつつ
冷たい頬で 冷やしつつ


ぐったりするほど夢をみて
めざめた顔にしぶきをかけて目を覚ませ
死んだ細胞 生き返れ


欲しかったものを奪いとれ
何を遠慮してるのだ
オトナになんかなっちゃって
いいえもうけっこうですなんて
笑ってる


ほんとは赤ん坊みたいに
わぁわぁ泣きわめいていたいのに


星がひかり
月がおちた


鳥が鳴き
虫が鳴き
人も泣き


泣き声で満ちた空に
また 星がひかる


もっと泣いていいんだよ
泣きつづけてても いいんだよ

11月21日

くちづけするほどしたしいひとと


・・・・・・・・・・・・・・・・・


くちづけするほど
したしいひとと
むなしいひるま


カップラーメンたべている
いっしょうけんめい
たべている


そんな
こうふく


・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・

あしおとたててひとがあるいていった

あとは子どもたちにまかせよう
これ以上のものはのこせないから


台所にころがっている大根を煮よう


腐らせてしまった食物を
ビニール袋にくるんで捨ててしまおう


太陽がまぶしくてクシャミする
子どもたちのしゃっくりに笑う
歩いて走ってスキップして
ドキドキ心臓をしずめて
湯でカラダをあたため
ふとんにもぐりこみ
ぬるい気持ちで眠ろう 今夜は


これからの予定なんて
そんなもの


たのしい夢がみたいな
天からものすごい希望が
この街一面に 降ってこないかな




(1月16)