止まないイノチ

ことばのような
絵のような
ようなものたちを
手玉にとって
ぼとりぽとり
投げては落とす


明け方のカラスの声が
ビルディングの壁に木霊する


秋の虫たちがあんなにこんなに
鳴きしきっていることに
気が付いてさえいない


止まってしまえば
失ってしまったときに
気がつく


居たね
居たよね
居たんだよね


手持ち無沙汰のコブシ
トントン打ち付けて
痛みを確認してみる


痛かった?


生きてる?


生きるのをやめたとき
生きてたことに
気が付いたりするんだろうか?


真夜中の妄想
コトバが追いつかない
新聞配達のバイク音


しりしりなる虫の音
止まないイノチ