すみだトリフォニーへ、ゴルドベルグ変奏曲のレクチャーを聴きに行く。
講師は、ピアニストのシモーネ・ペドローニ氏。
演奏は聴いたことなかったのだが、
すみだトリフォニーの「ゴルドベルグ」を聴くシリーズのコンサートに行くヒトならば
誰でも無料で招待してくれるという、レクチャーの会。
わたしはアコーディオン奏者の、ミカ・ヴァユリネン氏の演奏に行ったので
今日のレクチャーにも行ってみることにした。
http://www.triphony.com/index.php
のだが……
もっと「ゴルドベルグ変奏曲」の音楽的構造や、曲自体の話が聴けるとおもっていたらば
ほとんどが宗教的なお話でした。
熱心なカトリック信者さんのようで、
バッハも敬虔なカトリックだったゆえ
ゴルドベルグ変奏曲、もその視点からとらえて
「三位一体」をあらわしてる、宗教的に深い意味のある傑作だとか……と解釈され、お話されていた。
ぬうう……こまった。
宗教的な「説話」を聴いてるような感じでした。
三位一体とかいわれても……。
もっと「音楽」のハナシが聴きたかった。
バッハ氏には、宗教的なミサ曲などもありますが、
ゴルドベルグ変奏曲には、その
宗教臭さが感じられない、というのも
わたしが好んでる理由のひとつでもあり。
第30変奏に「俗謡」のメロディか使われていたり*1、と
ゴルドベルグ変奏曲は、宗教的なモノから、自由な感じがしていたんだけど。
これも、わたしの個人的な先入観にすぎなかったのでしょうか。
気付かされたのは
自分の中の いわゆる組織的な「宗教」に対する、アレルギー。
宗教を否定はしませんが、
みんなでひとつの神を奉るグループには
どうしても属することはできない……
なぜだろう?
若い頃に「アンドレ・ジッド」などを読んだからかな。
宗教の持つ、良い面よりも
個人の自由を抑圧する、怖い面のイメージが
より強くインプットされてるのかもしれない。
で、なんだかレクチャーを聴いてるうちに
つらくなってしまったのでした。
せっかくなので、その後、
その夜に、講師のヒトとは別の
オルガン奏者のかたがパイプオルガンで
ゴルドベルグ変奏曲を演奏するコンサートがあったので
聴いてきました。
トリフォニーお気に入りの、2階バルコニー席で*2。
バルコニー席は、席が一個ずつ並んでいて
両隣には誰もいないから、
ゆったりとしたキモチで聴けるのがいい。
パイプオルガンは、ステージより高い位置にあり、
ちょうど2階席の高さほどのところにあるので
演奏者の動きもよく見えて、最高のポジションだった。
奏者は、フランク・フォルケさん。
長身で実直そうな感じのヒト。
オルガンからはさまざまな音色が響き
多彩で変化にとんだこの曲の魅力が、味わえました。
4声部分では、足もつかって低音を鳴らす。
冒頭のアリアでは、
主題の低音部を、足使いバスで響かせていましたが、
最後のアリアでは、足は使わず、鍵盤のみ。
音色も繰り返しで変化。
オモチャのようなオルゴールのような
それでいて素朴な音色のアリア。
荘厳な、天から降ってくるような音色のヴァリエーションもあり。
そぼくな、笛の音のようなヴァリエーションもあり。
この曲の、さらなる魅力と可能性を堪能しました。
言葉より、音楽 が よりストレートに響く。
かみさま は そこいらじゅうに
コンサート後のサイン会にも並び、
CDにサインしていただき、
手を差し出して握手してもらいました*3。
ひとりひとり 握手するときには座ってらした椅子から
軽くひょいと腰を上げて しっかり握手されてたのが 印象的でした。