ポゴレリチ後遺症

はああ……タメイキが出る。
ずっと昨夜のコンサートのことが頭から離れない。
わたしのなかで両極端に分裂してる。
すごい、という驚嘆と
そっちへ行ってはダメだああ〜〜という叫びと。
いずれにしても、もうとりつかれていて逃れられない。
恋煩い状態ですね。
ったくもう……。


ものすごく期待していたのだろう。
深い底からもどってきた彼がどんな音楽を奏でるのか。
期待は……いやはやわたしの個人的期待などはるかかなた
超越してしまっていたようだ。
とまどっているうちに音ははじけ
鳴り、一瞬にして消えて
ここに、いまここにわたしがいるということを
ぐさぐさと認識させてくれる。
かなり拷問にちかい演奏でもありました。
ほんとうに疲れた。
きょうはずっとフラフラしてる。
くらくらしている。
明け方目が覚めた。
朝焼けがきれいだった。
昨夜コンサート帰り12時頃
東の空からシリウスがのぼってきてた。
オリオン座もきれいにみえた。
ということをわたしはきっと忘れない。
瞬間を刻みつけるチカラ。
永遠に一瞬一瞬の音、光り、すべてが変容して、
生まれて消えていく。
ということを、たっぷりとあじあわせてくれた。


でも、どこかで
そうじゃない、そっちじゃない、って
叫びだしそうな感情もあるんだ。
なんなんだろう? これは。