もーつぁるとを聴きながら


白くて長い指
が しなやかに動くのを
見ていた
いつまでも記憶しておけるように
いつまでもその映像を思い出せるように


感情を動かして
ココロに刻み込む
そしていつか 孤独な夜に
その記憶を呼び出して
ふっと一息つくことにしよう


その指の持ち主がだれだったかなんて
些細なこと


自分は誰も愛してはいないのだと
気づくことをおそれる 深い闇に
指が奏でる音楽を
そっと響かせよう


「ウソや誤魔化しが苦手だなんて
ほんとうにまだまだ子どもなんだね」
「だったら 子どものままでいいんだよ」と
天の邪鬼がささやく 夜


いちばん裸身なタマシイが
くすくす笑いでくつろいでいる 時間に
飛び跳ねる 音のつぶつぶ
ずっと きっと いつまでも