しとしと雨の日は(1994年7月7日)

しとしと雨の日は
こころが空みたいに
あかるくて くらい


しかたなしにふってくるものが
静かに街の外側をぬらす
かわら屋根はにぶくひかり
空の色をうつしてる


FMラジオは うたをうたい
鳥たちもしきりに うたうたい
ここにいるよ
ここにいるよと
そればかりをくりかえす


ときどきゆっくりと風がふいて
さまざまな匂いと記憶を
むりやり届けにくる


もう感じたくはないのです
もうなにも
求めたくもないのです


からからに乾いた喉に
しっとり雨は
やさしすぎてくるしい


失ってしまうことが
わかっているから
もう
なにも欲しくはないのです



求めすぎるココロは
すぐに乾いてしまうものだから