パウル・グルダ ピアノコンサート
夜7時から、四谷区民ホールでコンサート。
フリードリヒ・グルダの息子でもあるパウルさんが
モーツァルトのソナタと、グルダ(父)のピアノ曲を演奏。
まずモーツアルトのソナタ、ハ長調kv309.
独特のリズムと個性のあるモーツアルト。
フツーの演奏……モーツァルトらしいモーツァルトを期待してると
裏切られるかも……*1。
ピアノはベーゼンドルファー。
いい響き。
パウルさんのつくりだす「音」もきれい*2。
2曲目、父グルダの曲。
「Play Piano Play」から4曲。
表情豊かなノリノリの演奏。
楽しげに音と遊んでる。
純真な子どもがめいっぱい鍵盤で遊びまくってるみたい。
聴いてるほうも、ウキウキ踊りたくなる。
うわあ〜 いいなあ〜 おちょちょっうっっ〜いえっ!(意味不明)……と聴き入ってたら、
ラストでバチーンと音がして、なにやら
オレンジっぽい線がいきなりグランドピアノの上で跳ねた。
弦が切れたのだ。
パウルさんもちょいとびっくり、おどけた様子で立ち上がる。
拍手〜
一番太い弦が切れた様子。
めずらしい……というか、はじめてみました。
ソデにいったんひっこんだピアニストさん、しばらくしてから
調律師さんを伴って再登場〜拍手喝采。
調律のちょっと太目のオジサン、切れた弦をとりはずして、退場。
再度拍手が沸く。
その後、一曲とばして*3、
モーツァルトのイ短調ソナタを演奏*4。
演奏前に、ちょっとさっき切れたところの鍵盤を、叩いてみせる真似。
茶目っ気たっぷり。
冒頭部分から、力強いフォルテの勢いのある演奏。
こ、これも、グールドの演奏を聴き慣れてるせいか、
そんなに違和感を感じない……*5。
後半、モーツァルトともう一曲。
変ロ長調kv.333
愛らしい変化にとんだ曲。
テンポが自在に揺れる。
そしてまた、父グルダの曲「君と僕」&Light My Fireによる変奏曲。
ここで本領発揮〜! といった感じ。
カラダを揺らし、足を跳ねあげ、歌いながら*6、ピアノと遊ぶ。
気持ちよさそうだなあああ、いいなあああ。
そして、ラストプログラムは
グルダが息子のためにつくった「パウルのために」。
ああ、このメロディは昔聴いたことがある*7。
アンコールに応えてパウルさんが一言、日本語で
「ワタシのおとさん(お父さん)の、アリア」
と、客席に語りかけたあと、
フリードリヒ・グルダのあの「アリア」を弾いてくれました。
目が痛くなって、ナミダがでて困った。
またオトサン(フリードリヒ)とは違ったタイプのアリア。
同じ曲なのだけど、息子なのだけど、グルダ(父)はすでに亡くなってるのだけど。
さらになりやまないアンコールに
モーツァルトのソナタをもう一曲*8。
アンコールのほうが、のびのびと自由に演奏してたみたい。
お客さんたちの雰囲気もほぐれていいかんじ。
演奏中の表情や、動き、しぐさなどに、
お父さんの面影。
似てるけど、違う。
つながっているけど、同じではない。
あたりまえのことなんだけど。
不思議で面白い。
コンサート後、サイン会があり、しっかり並ぶ*9。
ひとりひとりに丁寧に笑顔で接するパウル・グルダさん。
低めの声のトーンもステキ。
しっかり握手もしてもらいました*10。
ああ、しかし、英語が話せたらな……。
そしたら「30年前、ラジオ*11でオトサンのグルダさんのアリア聴いて以来、アイラブ・グルダ・ズ・アリア(ヘンてこ文)、
今日あなたの演奏で聴くことができて、ベリーハッピー」……って、言えるのに。
結局わたしが発したコトバは日本語で
「ありがとうございます〜! 」でした。
ははは。
*1:とはいえ、わたし自身、常日頃グールドのモーツァルトばかり聴き慣れてしまってるから、あまりこの感想はあてにはなりませんが
*2:テレビでクラシック番組を背後で聴きつつ仕事していた。ふと、ヴァイオリンソナタの伴奏ピアノの音に耳がとまり、振り向いて画面を見たらパウル・グルダだった。彼は彼独自の「ピアノの音」を持ってるピアニストだとおもう
*4:モーツァルトの曲は最低音の弦を弾くことはない。当時のピアノは今のより鍵盤数が少なかった
*5:たぶん、わたしの聴き方があまりノーマルじゃない。個性的なピアニスト・マニア? ところで、気になったのが、客層。区民ホールだからか、わりと年齢層高め。和服のおばさまも、ちらほら。演奏がはじまるとすぐ、こっくり寝てるオジサンオバサン、まわりに数名。この「ジャズ」演奏で寝るか〜? 一方で、熱心なファンらしい若目の層のヒトたちも、混ざっているかんじ
*6:ホントになにやら歌ってました
*7:生ではない。レコードかラジオか、はたまたCDか忘れたがフリードリヒ・グルダが演奏してた。もうひとりの息子「リコのために」という曲もある。彼もまたピアニストに
*8:えっとたぶん…KV311だとおもう。一楽章を弾いて、さらに鳴りやまぬ拍手のために、最後2楽章も。ラストだよということを示すために、両手を合わせて枕のポーズ。おやすみなさい、のポーズをしてから弾きはじめました。カワイイ……
*9:もう、こんな機会はナイかもしれないので、遠慮せずサインしてもらうことに。ドキドキします。インスタント恋感情を味わえますデス
*10:しっかりした手。手の甲まで毛。ケマル・ゲキチさんも毛深かったっけ……って、何を観察しとるんじゃ(^◇^;)
*11:ラジカセ、当時はモノラルだったな